製造設備の異音をAIで検知、設備の停止時間を削減するシステムの導入
お客様:株式会社竹内製菓様 https://www.takeuchiseika.com/
お客様の課題
竹内製菓様は新潟県小千谷市に 2 か所の工場を構え、1946年の創業以来、長年蓄積された米菓造りの技術とノウハウを活かし、「あられ、おかき、ひとすじに」をモットーに米菓を製造・販売する菓子メーカーです。「工場内は時代に合わせて改良を積み重ねていますが、いろいろなところで人に頼っている部分が多いので、IT化は大きな課題でした。」と語るのは常務取締役の竹内将範様。竹内常務は同社の長年の課題についてこう語ります。「柿の種やおかきなどの米菓は、練ったお餅を型で小さく抜いたあとで、乾燥機で乾燥させる工程があります。乾燥機はチェーンやモーターなど、複雑な機構となっていて、定期的にメンテナンスを行っていても予期せぬ故障がまれに発生する場合があります。熟練作業者は機械の音で「何かおかしい」と気づく場合もあるのですが、こういった職人の技術は継承が難しいので、検知できずに故障すると、故障個所によっては数日間、ライン停止になってしまうことがあります。」そんな中、同社は令和4年、公益財団法人にいがた産業創造機構の「データ利活用型設備導入助成金」を利用、トラストと一緒にIoTや機械学習を取り入れて、工場の見える化やAIによる異常検知を導入することに挑戦しました。
ご提案内容
竹内製菓様とIoTシステム、故障検知システムを導入するにあたり、トラストは竹内製菓様の工場に何度も足を運ばせていただきました。IoTシステム、故障検知システムは単なるシステム開発ではなく、現場にセンサやエッジデバイスを設置するため、IoT機器の選定から設置方法、配線まで含めたトータルソリューションとして提案させていただきました。同社の大きな課題でありました「乾燥機の故障予知」に関しては機械が発する音をマイクで収集し、収集した音をクラウドシステムに送信し、機械学習による異常検出を行うシステムを提案させていただきました。竹内常務の話では故障の頻度は少なく、また故障モードも一つではないとのことなので、今回は「教師無し学習」という機械学習技術を使うことにしました。何度も実験をさせていただき、工場はいろんな音が出ているため特定の周波数の音はフィルターして異常音に対する感度を上げる工夫も入れました。
異常検出システムはアマゾンが提供するクラウドサービス「AWS」のIoT CoreやSageMakerというサービスを使って構築しました。AWSを使うことで、Amazon SageMakerを使ったモデル構築だけでなく、音データの蓄積から、異常検知時のアラート通知といった付随する機能も実現できました。
構成図
導入効果
異音検知導入の効果について竹内常務は「導入後しばらくして、異音検知のアラートメールを受け取りました。そしてその翌日にコンベアの異常で止まりましたが、事前に警戒していたため被害拡大にはなりませんでした。」と語ります。異音検知の通知メールは現在、竹内常務をはじめ工場長、社長などの経営層にも送信されるよう設定しており、何か起こったらすぐに対応できる体制を整えているとのこと。「四六時中機械を監視する必要がなくなり、関係者の心理的な負担が軽減されました。システムが確立できたことで、始業時と終業前の機械の見回り作業も廃止しました。さらに信頼性が増していけば、お盆休みや年末年始に機器を解体してチェックする作業も減らせるのではと考えています」「今の時代、技術の進化が早くて当社のような我々のような地方の製菓製造会社では、DXなどは他人ごとと考えていました。ましてやAI技術を自分たちの工場に導入できるとは思ってもいませんでしたが、トラストさんのような会社に協力していただくことで、自分たちでもできるんだと実感できました」と今回の活動を振り返る竹内常務。トラストは今後も竹内製菓様のDX化を地元のシステム開発会社として全面的にご支援させていただきます。